UGREEN NASync DXP480T Plus 構築ログ:Tailscaleサブネットルーターで構築する安定・安全なリモートアクセス環境

はじめに

これまで自宅へのリモートアクセスには WireGuard を利用してきましたが、以下の運用コストとリスクが課題となっていました。

  • ポート開放の維持: ルーターに穴をあける必要があり、セキュリティリスクをゼロにできない。
  • DDNSの管理: 動的IPへの追従設定や、更新確認の手間。

これらを一掃するため、ポート開放不要でメッシュVPNを構築できる Tailscale を採用し、さらにNASを 「サブネットルーター」 とすることで、同一LAN内のリモートアクセス環境を構築しました。


Docker Composeによる構築

ディレクトリの作成

NAS上に設定保存用のvar_libフォルダを作ります。 作らないとコンテナ起動時エラーになります。 ※パス(volume1等)はご自身の環境に合わせて適宜読み替えてください。 /volume1/docker/tailscale/var_lib

docker-compose.yml の作成

以下の内容でYAMLファイルを作成します。

services:
  tailscale:
    image: tailscale/tailscale:latest
    container_name: tailscale
    hostname: ugreen-nas #任意の名前でよい
    network_mode: host
    volumes:
      - /volume1/docker/tailscale/var_lib:/var/lib/tailscale
      - /dev/net/tun:/dev/net/tun
    cap_add:
      - NET_ADMIN
      - SYS_MODULE
    environment:
      # 外出先から自宅のネットワーク(192.168.1.xxx)全体へアクセス可能にする設定
      - TS_ROUTES=192.168.1.0/24
      # NAS自体のDNS設定変更を禁止し、iSCSI接続や既存のネットワーク安定性を優先する設定
      - TS_ACCEPT_DNS=false
    restart: always

設定のポイント

今回サブネットルーターとしての設定をします。この設定を行うことで既存のIPアドレスで自宅ローカルネットワーク内の機器へのアクセスが可能となります。

  • network_mode: host: サブネットルーターとして動作させるために必須です。
  • TS_ROUTES: 自宅のローカルネットワーク範囲を指定します。
  • TS_ACCEPT_DNS=false: TailscaleがNASのDNS設定を書き換えるのを防ぎます。これにより、iSCSIターゲットを見失う等のトラブルを回避できます。

コンテナのデプロイと初期認証

  1. コンテナの起動 NASのDockerからデプロイして起動します。

  2. 初期ログイン 初回起動時は認証が必要です。コンテナのログ画面を確認してください。 To authenticate, visit: https://login.tailscale.com/a/xxxxxx というURLが表示されるので、ブラウザで開き、ログインを承認します。


Tailscale管理画面での承認作業

コンテナを動かすだけではサブネットルーターとして機能しません。Tailscaleの管理側(サーバー側)で許可を与える必要があります。

  1. Tailscale Admin Console へアクセス。
  2. 対象マシン(例:ugreen-nas)の横にある 「…」「Edit route settings」 を選択。
  3. 「Subnet routes」 セクションにある 192.168.1.0/24 にチェックを入れ、Save を押す。

動作確認

  1. スマートフォンのWi-Fiを切り、モバイル通信(4G/5G)に切り替える。
  2. TailscaleアプリをONにする。
  3. ポートを開けていないのに、自宅と同じ感覚でアクセスできれば成功です!

まとめ

WireGuard+ポート開放という「従来のVPN」から、Tailscale+サブネットルーターという「次世代の構成」へ移行することで、管理の手間を大幅に削減できました。

当初はWindows PCに直接Tailscaleをインストールしようと試みましたが、環境の影響かうまくログインできないトラブルに見舞われました。しかし、今回のようにNASをサブネットルーター化することで、Windowsへのアプリインストール自体が不要になり、結果としてよりクリーンで安定した環境を手に入れることができました。

この構成なら、ポート開放もDDNSも一切不要。もちろん、外出先から自宅LAN内のWindowsへのリモートデスクトップ接続も快適に行えます。

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